2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

超伝導体の熱伝導率(基礎)

そのうち

電子の熱伝導(Wiedemann–Franzの法則)

自由電子の熱伝導についてよく知られた法則として、Wiedemann–Franzの法則があります。これは、金属の電気伝導度σ、温度Tの時、熱伝導率κが、 κ=σLT となるという法則です。ここでLはローレンツ数と呼ばれる比例定数です。一般にローレンツ数はL=2.44×10-8[V…

マグノンの熱伝導

マグノンは、強磁性または反強磁性状態にある磁性体におけるスピンの素励起です。格子や電子と同様、固体中で熱を輸送する熱担体として振舞います。ここではマグノンの分散関係の導出から出発して、どのような特徴があるかを考察してみます。 まず強磁性マグ…

スピンは熱を運ぶか?

固体中では様々な自由度が熱を運搬するが、近年特に注目されているのがスピンによる熱伝導だと思われる。既に多くの物質で検証されているように、スピンは格子や自由電子に匹敵、あるいは凌駕するような熱伝導担体となることが知られている。 原理的は非常に…

グラフェンの熱伝導率測定

グラフェンは炭素が平面上でハニカム格子状に配列した単層物質です。炭素間の強い共有結合により機械的強度が強く、電気伝導度も極めて高い物質として知られています。また、この物質はDirac-coneと呼ばれる特殊な円錐状の電子バンドを持っており、この系に…

熱伝導の備忘録(基礎①)

熱伝導率とは、読んで字の如し熱の伝わりやすさを表す物理量です。マニアックな話をする前に基本を思い出しておきましょう。 簡単のため一次元方向の熱伝導について考えます。熱伝導率は以下のフーリエ(Fourier)の法則によって定義されます。 ここでqが熱流…